編集後記(2015年 8月30日号)


【No.0631】 このコーナーは「週刊ゆたんぽ」をパクって作られています。


 着実に月刊誌に戻りつつありますが(笑)、タイムリーな小噺ばかり並べてみます。

●理想と現実

 なぜ世の中こうなった。 違うものは違う。 世の中声の大きい者の言うことばかりがまかり通ってはならない。 主義主張に同意する拍手の大きさ、それも音量ではなく数で評価されなければならない。 ずっと似たようなことを述べているけど、騒音がなくなるまで黙れと言い続ける必要があると思うので今日も書いてみる。

 安保法案は戦争法案ではない。 勘違いしている連中が高い声で今日もわめいている。 何を勘違いしたまま騒いでいるのだ。 良識ある日本人ならばきちんと歴史を学び、国際情勢を学び、憲法だけでなく諸々の関連法律を学ばなければならない。 学びもせずに思い込みでヒステリーを起こすのは、全くもって近所の某国民と同じではないか。 恥ずかしいと思わないのか。

 タレントだったり思想家だったり文化人だったり、過去に輝かしい経歴を持つ立派なはずの人が、軒並み勘違い論に踊らされて恥を晒すハメに陥るのが残念でたまらない。 ただその肩書きを見ていると、存在価値を失っている某野党議員は別として、そのほとんどが主に個人として活動する人たちである。 組織を束ねるとか、経済的な分野とかにほとんど縁がない人ばかりだ。 そこにオレが見出したキーワードは「リスク管理」である。 彼らは総じてリスク管理ができていない。

 組織を運営する上で、また同様に経済活動をする上で、欠いてはならない概念に「危機管理」「リスク管理」がある。 起こりうるトラブルについて可能な限り予測し、もし起こったらどう対応するべきか、まだ起こる手前ならばどうすれば回避できるのか、見越した体制を敷くことが必要不可欠である。 いかに商才があって大きな山を当てたって、つまらないトラブルにつまづいて足元をごっそりすくわれる例はいくらでもある。 目の前の儲けにはつながらないが、トラブルを避けることで結果的に利益となる、難しい投資でもある。

 最たる例がある。 福島第一原発事故の背景はみなさんご存じだろうか。 原発は安全だ安全だ、そんな大規模な津波なんか起きるはずがない、と事前予測の程度を甚だしく軽視したことが諸悪の根源だったんだよね。 起きた事象に対するマニュアル(危機管理)はあっても、津波はこの程度以下だろうなんて思い込んで切り捨てた(リスク管理不十分)わけだから、かくして起こった結果を評価すれば 0点だ。 ポンコツ宰相が被害を大きくした感はあるが、もっと深く想定していればゼロ近くまで軽減できたことは明らかだ。

 わかる? 事後対応だけじゃなくて、事前予防も同じくらい大事だって言いたいわけ。 事後対応だけでは、ひとたび事象が起こってしまったらプラマイゼロには戻らないわけ。 本題に戻るよ。

 戦争反対と唱えることしか頭が回らない諸氏は、戦争が起こりうる可能性を全くシミュレーションしていない。 ひたすら戦争放棄を訴えていれば世界は平和になる、そんなお花畑はこの地上には存在しない。 近隣には無法国家が 3つもあり、沖縄はその最前線に位置しており逃げも隠れもできない。 戦後 70年間平和主義を貫いてきたにもかかわらず、領海領空侵犯が絶えないこの現状である。 現状じゃ対処しきれないのがわからないか? ハインリッヒの法則って知ってるか?

 大事なのは「戦争をしたくない」と個人的希望を叫ぶことではなく、「結果的に戦争をせずに済む」ことを目指さなければならない。 これを否定する者がいたら直ちに本国へ帰っていただきたい。 そして現状の防衛体制では、巻き込まれ型の戦争を未然に防ぐことができない。 だから安保法案を通し、能動的な平和維持活動ができるようにするべく後方支援を行わなければならないのだ。 日本はカネを出すことで戦争を未然に防ぐ、その役割を果たしなさいということなのだ。 それとも何か、他に「結果的な戦争リスク」を防ぐ策があるならぜひご披露いただきたい。 今はそういうレベルの国策が話し合われているのだ。 戦争したいとかしたくないとか、そんな答えがひとつしかない論争は初めからされていない。

 もし安保体制も何もなくなって、日本から米軍基地がなくなったら何が起こるか、平和ボケ諸氏はシミュレーションしたことあるんだろうか。 紙面が少なくなったから次回以降に回すけど、現状が最も平和に近かったんだと思い知ることになるよ。 声の大きな者に流されることなく、しっかり学び理論武装すること。 竹槍と頭巾で武装しなきゃいけない時代がもう来ないように、いま自身はどう行動するべきか。 考えないことは罪ですよ。

●福澤さんには珍しいこと

 惚れた。 柴田淳の CD 買ってみる。 いや綺麗な人だから DVD を探そうかな。 いや画質で選べばブルーr(もうええ)

 別にオレはいま病んでるつもりはないけどさ。 呑んだ後にラーメンを食べたくなるように、若くなくなってくると野菜が美味しく感じるように、疲れてるとビールが美味しくないように、いま身体が欲しているものを快く感じるのはよくできてるシステムだなぁと思ったり。 とにかく、何と耳に馴染みやさしく染み渡ることか。 久しぶりに素直に感じた日でありました。

●ホラどうした、守りなさいよ

 いよいよ 8月も終わり子どもたちは 2学期。 その 9月 1日に自殺が多い、という統計がにわかに注目を集めているね。 オレも若干教育にかかわった人間だから、思うところはもちろんある。 まぁありがちな話をしてもしょうがないので、例の図書館の Twitter の件について、ちょっと別の話をしてみたい。

鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。

https://twitter.com/kamakura_tosyok/status/636329967668695040

 このツイート、憲法違反でしょ。 どうして誰も指摘してないの? って冗談だけど。

 日本国憲法第 26条。 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。 いや正確には「国民」が「その保護する子女」に云々、だから図書館は直接の義務者じゃないけどね。 9月から普通教育が始まるってのに「行かなくていいよ」とは、義務に反することを幇助しているじゃないかと。 しかも市立図書館という公的機関が。 はいそうです考え過ぎです。

 憲法ではそのように謳っている。 しかし 9/1 には自殺が最も多いという統計的な事実がある。 だからセーフティネットが必要とされ、鎌倉市図書館は異論を承知で、ツイートという形でその役を買って出てくれた。 原理原則は当然守るべきだが、社会の実情に合わせるにはこういうイレギュラーも必要だと思わんかね? 否定する人いる?

 …という話を、戦争をしたくないしたくないと思考停止しながら叫んでる連中はどう解釈しているだろうかね。 何が何でも憲法を守りたいあんたらは当然、鎌倉市図書館に抗議するんでしょ? ホラどうした早く。