編集後記(2001年 4月13日号)


【No.0417】 このコーナーは「週刊ゆたんぽ」をパクって作られています。


 今日はスケールの大きなお話。 13日の金曜日特集はお休みです(笑)。

●褒めよ歌えよ

 「Maji Midi」久しぶりの新作はご存じ「明日があるさ」です。 ウルフルズの新曲だと思ってる若い人は多いと思うんだけど、元ネタ(ネタ?)は坂本九さん。 37年の時を隔ててなお支持されるんだもの、今さらあれこれ述べる必要はないね。 世の中って変だよなぁ、こういう人から順に亡くなっていく。

 いやーほんっとこの曲はいい。 オレとしては「上を向いて歩こう」よりも好き。 どんな歌詞をつけても歌えそうだし、またアメリカに持っていったら全米制覇できるんじゃないかなぁ。 タイトルは何にする? 「Udonsuki」とか?(最低)

●切り札を出したワケ

 今までこの話には触れてこなかったけど、いよいよ書かなきゃならない日がやってきたらしい。 何かって、MIDI に関わる音楽著作権の話。 急激に発達したネット界、音楽もどんどん発展してきたのに水をさすような問題が発生してね。 しかも 7月までっていう区切りができてしまったので、ちょっと物申さなきゃいけなくなった。

 災いの元はやっぱり JASRAC である。 MP3 の氾濫は確かに目に余る状況で、規制を強化していくらしい話はかなり前から聞いていた。 それがいつの間にか非商用利用の MIDI にまで課金する、なんて事態に発展していたのね。 うちの「Maji Midi」も一部がそれに該当しちゃう。

 ネットが動き出した頃は、JASRAC はこんな騒ぎにはならないだろうってたかをくくってたらしいんよね。 ところが普及してくると急に態度を変えてコレだ。 まー金儲け目的ではないのだろうが、ひどい話だよなぁ。

 そもそも JASRAC ってのは「日本音楽著作権協会」のことで、目に見えるところでは著作物使用料の取り扱いを各アーティスト・団体に代わってやってるのね。 それ自体は意味もよくわかる。 しかしやってることはといえば、過剰に金稼ぎやってるようにしか見えない。 んだから、「わくわく動物ランド」に出てた頃の小林亜星は偽善者だと信じて疑わないよ。


 言うことには、原曲の著作権者を保護するためという大義名分があるらしい。 例えば「明日があるさ」だったら作詞青島幸男・作曲中村八大、他にレコード会社あたりに著作権があるのかな。 「ジョージア〜」の替え歌を作った福里真一氏もか。 だからデータを作って配布したり改変するときはそれなりの手続きが必要。 そこまでは納得してよい。

 自作曲は引っかからないから論外として、世間に流れる曲を作って配布するときは (1)耳コピーで作る、(2)楽譜を元にして作る、のどちらかになるでしょ。 これが両方とも引っかかるんだって、信じられん。

 まず前者。 どんなにがんばったところで本物と同一にはならないし、本物と同等の価値を持つことは不可能。 これが世に蔓延ったところで、どれだけ著作権者が迷惑を蒙るのか。 ゼロとは言わないが、聴いてくれた人が曲に親しみを覚え、購買意欲をかきたてられたら決して悪い話ではあるまい。 今の音楽業界は多数派工作にかき回されてるから、個人の意思を世に発表する手段としての意味も持っているのだ。

 しかも線引きがひどく曖昧。 原曲がわからないようなデータはどう判断されるのか、鼻歌レベルでも原曲のフレーズを含んでいたらダメなのか、似たようなフレーズがあったらぜーんぶ盗作とみなされるのか。 突っ込みたい点はいくらでもあるのだ。 少なくとも、データの質を一切評価せずに一律に課金するのは、MIDI 作家としては理解できない。

 それから後者。 「Maji Midi」で扱っているデータはほとんど全てが市販の楽譜を元にして作られている。 こちらは完全に近いコピーが可能であり、引っかかってもおかしくはない。 しかし特許の用語に「消尽理論」というものがあり、著作物に関してもこの考え方が認められてきている。

 市販の楽譜は、間違いなく著作権者に使用料を払った上で出版されている。 JASRAC のマークが入っているということはちゃんと取引が行われたということである。 そして我々 MIDI 作家は金を払ってその楽譜を買う。 どんなにペラペラでも 500円を下回ることはない。

 …という状況で、なぜいきなり JASRAC が「著作権使用料」を求めてくるのだろう。 権利は消尽されたのではなかったのか。 映画や MP3 ならともかく、楽譜という形態にランクダウンした二次的著作物から、さらに手を加えて作ったデータ(三次的著作物)に、なぜ上が文句を言うのか。 著作権料の二重搾取じゃないのか。 オレが声を大にして言いたいのは特にこのこと。

 何だろう、JASRAC は何もかもを管理下に置きたいのだろうか。 検閲するってこと? それとも増収が目的? というわけで、わたくし福澤は徹底して反対の立場を取ることをここに宣言します。


 ここからがみなさんに関係あること(笑)。 「Maji Midi」はどうなるのかって? このまま公開しますよ、オレの汗と涙の結晶だもん。 書類見て金数えるだけでメシ食ってる連中に何がわかるってんだい。 もしクレーム来たら「JASRAC の横暴のせいで消すことになりました」とかタラタラ書いてやる。

 クラシック部門はご安心を。 著作権者の死後一定の年月が経つと権利が消える規定があり、よく覚えていないが没後 100年たった作曲家の作品ばかりなので心配無用。 日本ではいわゆるクラシック音楽は発展しなかったが、もし消しにかかったら外国の団体が黙っているはずがあるまい。

 オレたちはいいものを残そうっていう想いでやってんのにね。 悪いもの=多数派(小室とかビジュアルとか)を保護する気なのかなぁ。 この議論はご意見ご感想をお待ちしております、掲示板にもじゃんじゃん書き込んでね。